小さな村の大きな話
「…くしゅん」
一応ちゃんと拭いてからジャージに着替えて学校出たんだけどな…
「シャワー浴びて寝ちゃおう」
ちゃちゃっとシャワーを浴びると髪を乾かして布団に入った。
「あ、大和君のご飯だけでも作ってあげよう」
大和君に一緒に暮らさないかって言われたとき、正直迷った。
だって、大和君は何でもできると思ってたし迷惑かけちゃうと思ってたから。
“そんなことない、僕にもりんちゃんが必要だよ”って言ってくれたけど“そんなバカな”って心の底から思った。
でも、実際一緒に暮らし始めたらすぐわかった。
想像以上に生活能力がない事。
放っておくと3日で部屋は足の踏み場を失くしてたし、作れる料理はカップ麺だけ。まともに米すら炊けない。皿を洗えば割るし、洗濯は多すぎて止まったり決められたスペース内に干せなくて生乾きも多々あった。アイロンなんて論外、服が焦げてなくなる。
私と暮らし始めて体に良くないって言って何とか掃除は出来るようになって、料理も私のためにっておかゆだけはなんとか作れるようになってくれた。
ただ、冷蔵庫の中に刻んだネギが常備してあるのが前提だけど。
「これでよしっと」
シチューを鍋にかけて一段落。
そうだ、ネギ刻んでおかないと。
私がいないときに大和が昼とかにふらっと帰ってきても自分でご飯が食べれるように簡単な煮物だったりは冷蔵庫に常備してある。だけど、自分でおかゆ作るときもあるみたいだから絶対刻みネギは切らさないようにしている。煮物に乗せても美味しいし味噌汁にも入れられるしあっても困らないからね。
大和にはカップの味噌汁食べるときにも刻みネギは添えるように言ってある。それだけでだいぶ変わるから。
「ふふっ、なんか、お母さんになった気分…コホッ…」
あ、本格的にまずいかも。
火を消して布団に入る。
「…寒い…」
すぐに眠気は訪れて夢の世界へ落ちていった。