小さな村の大きな話

引っ越しが一段落したところで二人で新品の机に座り引っ越しそばを食べる。


…湯気で眼鏡が曇る……。


「りんちゃんっていつも眼鏡だよね…たまにはコンタクトにしたりとかしないの??」


「あんまり人付き合いが得意じゃないから、眼鏡ってフィルターがあるとなんとなく安心するんだ」


「ふーん、そっか…。
そういえば、学校は明日から??」


「はい、麦根学園の高等部に」


「まぁ、この辺りだと麦根しかないからね」


「そうなんですか??」


「麦根は地形的に山に囲まれてるからあの長いトンネル抜けないと街の外には出られないんだよ。
街の中には麦根学園しかないからこの辺りの子はほとんどそこに通ってる。
幼稚園からエスカレーターだしね」


「詳しいですね」


「そう??まぁ、6年間麦根の医学部にいたし…」


「え、そうなの??
前の病院、大学病院だったからてっきりそこの付属大学出身かと…」


「たまたま知り合いがそこの理事長の息子なんだけど、心下が人手不足って言うから行っただけだよ!!」


「そうなんですね…」



私達、まだまだお互いの事何も知らないんだな…




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