小さな村の大きな話
「おはよー、先生、朝です!!」
「んー…りんちゃん、おはよー
って、だから、先生はやめて!!」
「えっと、じゃあ…おはょ…大和…くん…」
うわぁっ!!すごい恥ずかしい!!
「い、い、いちいち照れないでよっ!!こっちまで恥ずかしくなるっ!!」
「だって恥ずかしいんだもん」
「さ、早くご飯食べて支度するよ!!
初日から遅刻なんてかっこ悪いしね!!」
「はい!!」
先生…じゃなかった。
大和を起こす少し前に起きて準備した朝ごはんを机に運ぶ。
家事全般は私の担当だ。
「うん、りんちゃんのだし巻きって本当に美味しいよね。
なんか、他のより深い味がする気がする…」
「あ、それはね少しだけ“塩麹”入れてるんだよ」
「なるほど」
「ママがね、昔よく作ってくれたの」
「そっか…」
「ママ、元気かなぁ~…」
「たまにはLINAしてみればいいじゃん」
「え、でも…迷惑ですよ、きっと」
「んー、りんちゃんのお母さんってそういうタイプではないと思うけど…」
「でも、忙しいからさ」
私の両親は仕事で海外を飛びまわっている。
もう何年も会っていない。時々メールするくらいかな。
でも、忙しいからあんまり連絡するのはなって思っちゃう。