小さな村の大きな話
ガチャ
「……」
「あ、りんちゃ…」
黙って引き出しから茶封筒を取って家を出る。
バタン!!
「……私、感じ悪いな……」
ガチャ
「あ、準備できた??」
「ひ、檜山さんっ!?!?」
「ドアを思いっきり閉める音が聞こえたから、何事かと思って」
「ご、ごめんなさい!!うるさくして」
「いや、別にいいよ。
じゃ、行こうか」
二人で、無言でエレベーターに乗る。
先に沈黙を破ったのは檜山さんだった。
「…まだ、喧嘩してんの??」
「え??」
「壱原さんと」
「……はい。
本当はもう怒ってないんです。でも…」
「…意地の張り合いになっちゃったんだ」
「私、咲座さんの事で大和くんの力を借りようなんて思ってない。
学校は、私の領域っていうか……
大和くんが口を出す所じゃないと思ってるから。
そこに踏み込まれて、荒らされた…気がして…。
唯一私を助けてくれた檜山さんまで傷つけて…。
そこが許せなかったの。でも、大和くんが嫌いなわけじゃなくて…
なんだろう…すごく、もやもやするの…。
私、こんなふうに誰かと喧嘩したの、初めて。感情のやり場が、わからないの」
「ふーん、あんた、意外とはっきりしたとこもあるんだね。
…一応確認んだけど、あんたら、付き合ってんだよね??」
「はい」
「じゃぁ、全部言えばいいじゃん。
今あたしに言ったこと。
あたしの事気にしてんじゃないよ。
それこそ、あたしと壱原さんの問題なんだから。本田さんの口出す事じゃないよ」
「…でも……私のせいで、檜山さん…」
「あたしね、こんなんだから誤解されやすいんだけど、男苦手なんだよね」
「え??」
「だから、これは壱原さんと私…というより、私の問題。
私自身と折り合いつけていかなきゃいけないんだよ」
「でも…」
「私ね、壱原さんが悪い人じゃないのはもうわかってる。
だって、家まで謝りに来てくれたんだよ??社会人が高校生の餓鬼んとこまで。
自分の非を認めて謝るなんて大人になる程難しいのに。
きっと、前しか見れない人なんだよね??
誇っていいと思うよ、あんた男見る目あるよ」
「……うんっ!!なんかスッキリした。
ありがとうございます、檜山さん」
「樹でいい。あと、敬語も無しで」
「いつ、き??」
「樹木の樹で樹って読むの。私の名前」
「…素敵な名前……」
「そう??ありがとう…」
…あ、樹ちゃん照れてる…。
「えっと…じゃぁ、私はりんで!!」
「よろしくね、りん」
「こちらこそ、樹ちゃん」
樹ちゃんはちょっと不思議な人だ。
他の人とは違う雰囲気で大きな壁がある気がしてたけど、名前で呼ぶだけでこんなに近く感じられるようになるんだ。
「……」
「あ、りんちゃ…」
黙って引き出しから茶封筒を取って家を出る。
バタン!!
「……私、感じ悪いな……」
ガチャ
「あ、準備できた??」
「ひ、檜山さんっ!?!?」
「ドアを思いっきり閉める音が聞こえたから、何事かと思って」
「ご、ごめんなさい!!うるさくして」
「いや、別にいいよ。
じゃ、行こうか」
二人で、無言でエレベーターに乗る。
先に沈黙を破ったのは檜山さんだった。
「…まだ、喧嘩してんの??」
「え??」
「壱原さんと」
「……はい。
本当はもう怒ってないんです。でも…」
「…意地の張り合いになっちゃったんだ」
「私、咲座さんの事で大和くんの力を借りようなんて思ってない。
学校は、私の領域っていうか……
大和くんが口を出す所じゃないと思ってるから。
そこに踏み込まれて、荒らされた…気がして…。
唯一私を助けてくれた檜山さんまで傷つけて…。
そこが許せなかったの。でも、大和くんが嫌いなわけじゃなくて…
なんだろう…すごく、もやもやするの…。
私、こんなふうに誰かと喧嘩したの、初めて。感情のやり場が、わからないの」
「ふーん、あんた、意外とはっきりしたとこもあるんだね。
…一応確認んだけど、あんたら、付き合ってんだよね??」
「はい」
「じゃぁ、全部言えばいいじゃん。
今あたしに言ったこと。
あたしの事気にしてんじゃないよ。
それこそ、あたしと壱原さんの問題なんだから。本田さんの口出す事じゃないよ」
「…でも……私のせいで、檜山さん…」
「あたしね、こんなんだから誤解されやすいんだけど、男苦手なんだよね」
「え??」
「だから、これは壱原さんと私…というより、私の問題。
私自身と折り合いつけていかなきゃいけないんだよ」
「でも…」
「私ね、壱原さんが悪い人じゃないのはもうわかってる。
だって、家まで謝りに来てくれたんだよ??社会人が高校生の餓鬼んとこまで。
自分の非を認めて謝るなんて大人になる程難しいのに。
きっと、前しか見れない人なんだよね??
誇っていいと思うよ、あんた男見る目あるよ」
「……うんっ!!なんかスッキリした。
ありがとうございます、檜山さん」
「樹でいい。あと、敬語も無しで」
「いつ、き??」
「樹木の樹で樹って読むの。私の名前」
「…素敵な名前……」
「そう??ありがとう…」
…あ、樹ちゃん照れてる…。
「えっと…じゃぁ、私はりんで!!」
「よろしくね、りん」
「こちらこそ、樹ちゃん」
樹ちゃんはちょっと不思議な人だ。
他の人とは違う雰囲気で大きな壁がある気がしてたけど、名前で呼ぶだけでこんなに近く感じられるようになるんだ。