小さな村の大きな話

翌日


……今日も樹ちゃんサボりか……。
HRにはいたのに、授業になるとふらっと消える。


「本日の授業はここまで!!」


「起立!!礼!!」


「「「「ありがとうございました」」」」




次は…お昼か!!
樹ちゃんの所行かなきゃっ!!


樹ちゃんはだいたい屋上にいる。
屋上って言うと人気スポットっぽいけど実はそうじゃない。
だいたいお昼ごはんはみんな教室か、カフェか学食。
外で食べたい人は中庭や裏庭で食べている。



「樹ちゃん、いる??」


「りん」


「ご飯、一緒に食べてもいい??」


「いいよ、今行く」



屋上の扉の上にちょっとしたスペースがある。
樹ちゃんはそこにいて、ハシゴを伝って降りてくる。



「樹ちゃん、昨日はありがとう」


「いや、たいしたことしてないよ。
どうだった??味の方は」


「美味しかったよ!!お出汁が効いてて。
塩分控えめにしてくれたんでしょ??
それであの深み!!
樹ちゃん、お料理上手なんだね!!」 


「りんも上手じゃん。いつもの弁当見てればわかる」


「えへへっ、ありがとう!!」



樹ちゃんと仲良くなる前はずっと空き教室とかで誰にも見つからないようにひっそりと食べてた。
それが、こうやって楽しくご飯食べれるようになるなんて…
すごい嬉しい。


樹ちゃんは結構口数が少ないから私がたくさん話して樹ちゃんが聞いてるほうが多いかな。



キーンコーンカーンコーン



「あ、予鈴だ!!そろそろ行かなきゃ」


「あ、待って。あたしも行く」


「へ??」


「今日の数学、瀬野らしいから…」


「瀬野先生??前から気になってたんだけど瀬野先生って体育の先生だよね??」


「あいつ、結構万能だからね」


「へぇー…。
で、なんで瀬野先生だと授業に??」


「あいつ…空手部の顧問、なんだよね…」


「え、樹ちゃんって部活やってるの!?!?」


「前に言ったじゃん、特待生だって。
私、武道特待生なんだよ」


「そうだったんだ…。
最初のテストで1位だったじゃん??てっきり普通の特待生かと…」


「出席日数黙認してもらう代わりに学年で10位以内に入り続けなくちゃいけないの」


「……そうなんだ…」



それは、普通に授業に出れば良いのでは……??



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