小さな村の大きな話


「んー、じゃぁ次、檜山。
黒板、答え書いて」



カツカツとチョークの音がする。
迷うことなく答えを導き出して戻ってくる



「ん、正解」




…さすが一位……。



「次、長谷川、できるか??」


「x=55,676ですか??」


「よくできた。んじゃ、次檜山」


「ねぇ、あたしもう3回は当たってるんだけど!?!?」


「普段来てねぇんだからこの位いいだろ??」


「瀬野の授業ちゃんと来てるけど!?!?」


「ごめん。お前、影薄いから気づいてなかったわ」


「毎回同じ事言ってるじゃない!!
気づいてるでしょ!!だから当ててるんでしょ!!確信犯でしょ!!!」



普段クールで静かな樹ちゃんがキャンキャンと怒ってる……。



「まぁまぁ、気にすんなって。
あんま騒ぐと授業妨害で減点するぞ??」



キーンコーンカーンコーン



「あ、鐘なった。
じゃぁ、今日はここまでー。
金城先生が今日やった次のページ宿題って言ってたからよろしくー」


「起立!!礼!!」


「「「「ありがとうございました」」」」




教科書をしまいにロッカーに行くと樹ちゃんも来た。



「お疲れ様ー。次の授業も出るの??」


「歴史系は苦手だから授業でないと」


「そうなんだ…」



樹ちゃんは樹ちゃんで色々と考えてるらしい。



「私、みんなが思ってるほどサボってないからね??
トータルすると3回に1回くらいしかサボってないから」


「確かに、5月くらいは毎日、毎時間授業出てたね。なんで??」


「んー??秘密」



樹ちゃんは結構秘密も多い。



「さて、そろそろ席つかなきゃ」

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