小さな村の大きな話
「樹ちゃん、帰りにモール寄ろうと思うんだけど、一緒にどう??」
「あー、ごめん。今日バイトがあって…」
「え!?バイトしてるの??」
「一応ね。すぐ近くのカフェで。
今日は無理だけど明日なら空いてる。明日でもいい??」
「なら、明日!!よろしくね!!」
「うん」
樹ちゃんが先に教室を出ていって私も帰ろうかな、なんて思っていた時だった。
「本田さん、ちょーっといい??」
そう、実はこっちの件については何も解決していない
「最近檜山さんが一緒だからって調子乗ってない??」
「いえ、その…」
「咲座家の時期当主に嫌われちゃったから檜山家に取り入ろうって、そういう事??」
「余所者がこんな所でやってくのは大変だもんねぇ??」
「根暗のくせによく考えたねぇー??」
「えっと…す、すみませ―
「ねぇ、聞いたよ??
家族でもない男の人と暮らしてんだって??」
「あー、私も聞いた!!
相手は医者だって??さっすが!!早速金持ちに取り入ったってわけだ??」
大和くんの事に関しては、どこから漏れてるのか…
本当に謎だ……。
「まぁ、こんなのに取り入られちゃうなんて向こうもたかが知れてるわよねー」
「大和くんは関係ない!!会ったこともないくせに大和くんまで悪く言わないで!!」
ばぁぁんっ!!!!
突然、教室の扉が大きな音を立てて開いた。
「何やってんの??入り口の近くで。邪魔」
「あっ、檜山さん」
「違うのっ!!この子がっ!!」
「5人で1人を囲んで恥ずかしくないの??
ま、あたしには関係ないけど」
「檜山さん、騙されてるよ!!
この子は檜山さんに取り入ろうと!!」
「そうよ、私達は檜山さんを助けようと」
「残念だけど、頼んでない。
あたし、一緒にいる人は自分で選ぶから。
…あぁ、あと檜山は私の代でおしまいにする予定だから。
そんなに必死に取り入る意味ないよ」
……檜山さんはそのまま堂々と真ん中を進み
「これ、忘れただけだから。あとはご勝手にどうぞ」
と机から携帯を出して教室から出ていった
「っち!!しらけた。帰ろ」
「そうだね」
「本田さん、よく覚えておいてね」
基本的に檜山さんは自分の思ったように行動するし咲座さんから直接何かされてない限り助けには来な