小さな村の大きな話

「おはよ、大和くん!!
そろそろ起きないと遅れるよ??」



出発の日はあっという間にやって来た。



「んー…もうこんな時間か…」


「ご飯とお昼におにぎり!!机の上にあるから!!
私学校でお見送りできないけど…気をつけていってきてね!!」


「うん。ありがとう、行ってらっしゃい」



頭をなでなでされる。
…幸せだ……。




――ガチャ…



「あ、おはよう」


「おはよう…同じ時間に会うの初めてじゃない??」


「ほら、外…」


「あ、そっか…今日雨か…。
バイク乗れないもんね」


「そーゆーこと」



二人でバス停に向かって歩き出す。



「コホ…ケホ…」


「樹ちゃん、風邪??」


「ん??大丈夫」


「最近ジメジメしてるし…体調崩しやすいから気をつけてね??」


「人の心配より自分の心配しなよ」


「そうだね…大和くんもいないし、気をつけなくちゃ」


「いないって…??」


「ん??あぁ出張だよ。1ヶ月、村の外に」


「ふーん、何かあったらすぐ言ってね。隣なんだから」


「ありがとう!!」



しばらくしてバスが来ると二人で乗り込んだ。



「おはよ、りん♪」


「おはよう、奈穂ちゃん」


「うん、やっぱこっちの方がいいよ!!
仲良くなる前は根暗感でて不気味だったけど」


「私…ちょっと、人見知りだから……」


「…ちょっと??」



樹ちゃんが真顔で首を傾げてる。
ちょっとじゃない、とか言いたげな顔だなぁー…



「あ、誰かと思えば樹か…。
今日学校行くんだね」


「まぁね…」


「今日なんかあったっけ??」


「ん??ほら、雨だから」



私の頭の中は、はてなマークでいっぱいだ。
雨だと学校行かないって…どういうこと…??

…バイク乗れないと来ないのかな??
………さぼり??

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