小さな村の大きな話



「…1限、瀬野の体育か……」


「あれ、樹ちゃんは??」


「あぁ、サボりだよ」


「サボリ!?だって1限、瀬野先生だよ!?」


「……まぁ、そういう事もあるよね」



……なんか、隠してる。
奈穂ちゃんも、樹ちゃんも…クラスの皆も……。
なにか、なにか隠してる……。



「ねぇ、りん。あんまり、深入りしないであげて。知らないふりしてあげて欲しいの。
樹にとって必要なのはきっと、何も知らない人だと思うから…」


「……えっと、それって…」


「いつか樹が話せると思ったときに話してくれるよ。
いつまでも隠せない事くらい、樹だって分かってる、きっと…」



しばらく、黙っていよう。って思った。
余計な詮索はしない。樹ちゃんは樹ちゃんだもん。
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