小さな村の大きな話


「…………大体状況はわかったわ。
錦!!あんた、またやったのね!?!?」



……また??



「それよりも、なんでそいつがここにいるんだ」


「私の友達。泊めるよってメールしたじゃない」


「友達…??お前に??」



ギャンギャンと言い合いが始まってしまった…。
…居にくい……




「…えっと、あの…私帰りますね」



なんか、居たらまずそうな雰囲気だし…。
とりあえず荷物を持って会釈をする。




「「なんで。」」



…ハモってるし……



「はぁ…。
別に妹の友達が泊まりに来るくらいなんとも思わない」


「えっと…」


「泊まってけってさ」


「ここ、客間だから好きに使え。
右が俺の部屋、左が樹の部屋だから何かあったら言え」


「…あ、ありがとうございます」



お礼を告げると何も言わずに部屋に戻っていってしまった。



「ごめんね、愛想はないけど悪いやつじゃないんだ」


「…うん……」



「まだあんまり具合よくないんでしょ??
部屋で休んでて??夕飯できたら呼ぶから」


「夕飯の支度手伝うよ??泊めてもらってるのに何もしないなんて――


「病人は黙って寝る!!

それにね、初日くらいちゃんとおもてなしさせて??」


「うん…。
わかった、ありがとう!!」



部屋に入ると大きなデスクや見たことのある薬、分厚い医学書が何冊もあった。

これ、新聞のスクラップ帳??



「…児童養護施設の虐待事件……精神疾患と虐待…??
精神科医とカウンセラー……」



他にも分厚いのが二冊



「心疾患の研究論文に医療ミス事件…。
喘息と心疾患の死亡例…
遺伝子と心疾患の研究成果……??」



……佐伯先生のかな??
あ、でもここ樹ちゃんのお父さんの部屋って…
あんまり勝手に見ちゃ駄目だよね…。

そっと戻して布団に入る。
やっぱり体は正直だ。
横になれば具合が悪かったのか、スッと眠りに入ることができた。




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