小さな村の大きな話
【奈穂side】
その日の放課後
「りんのこと、心配??」
「別に」
嘘だ、すっごく心配してるくせに。
「……素直じゃないなぁー!!」
「うるさい」
頬をぷにぷにしてたらパシッと手を弾かれた。
「黎華の事は??助けてあげないの??」
「自業自得でしょ??」
「あんなに気にしてたくせに。
何であんなことしたのか、理由わかったんでしょ」
「へぇー…奈穂、知ってたんだ??」
怖いよ、目が怖いよ!!
「いや、まぁ。咲座家ご夫人が変わったってことは、ぼやっと聞いて知ってた。
というか、知らなかったのはその頃村にいなかった樹だけだよ」
「……そう」
「まぁ。どんな人かは知らなかったけどね」
「そう、わかった」
「……檜山家の権力、私はここで使ってもいいと思うけどなー。
持ってるものを出し惜しみする必要なくない??減るものでもないし」
私は、二人の幼馴染として黎華と樹が仲直りしてほしいと思ってる。
9割方黎華が悪いけど情状酌量の余地はある。と思う。
「檜山家は終わりにするつもりなの。権力とか使う必要ない」
「実際終わらせられるのかね…。村傾くよ、暴動が起こるよ。
あの時のこと忘れたの??」
「……あたし、この村嫌い」
「気持ちはわかるけど、どこに耳があるかわかんないんだから…」
ガタッ
「もう帰るの??」
「りんのお見舞い行くから」
「ねぇ。人の事もいいけど自分の事も――
「わかってる、自分が一番よくわかってるから!!」
樹がバンッと机を叩く。
…今のは私もデリカシーなかった……。
本気で怒らせちゃったかな。
「…ごめん」
返事が帰ってくることはなかった。