小さな村の大きな話
「ひゅー、ひゅー、ううっ……」
「樹ちゃん??樹ちゃん!!」
「ヒュッ……っく…はぁっ…はぁ……
いっつ……ひゅー、ひゅー」
心臓のあたりを掻きむしるかのように抑えて手足が強張っている……。
「樹ちゃん!!わかる??こっち見て!!」
目の焦点も合ってない。
「あ"ぁぁぁああ"あ"」
「樹ちゃん、どうし―――
「どけっ!!!」
ドンッ
「お前医者だろ??これくらいで動揺するな!!
樹を殺す気か!?!?」
「っ!!」
そうだ、突然で……動揺して……。
僕、医者なのに……。
「視歩に連絡しろ、一番近い処置室に向かうから必要なもの一式持ってこさせろ。
佐藤舞が重度の発作、これで通じる」
「え、わ、わかった!!」
人のいない処置室に入ると錦が樹ちゃんをベッドに下ろす。
長谷さんはすでについていて準備をしていた。
「錦!!樹ちゃん!!」
「……痙攣してる…。
視歩!!俺と壱で押さえつけておくから点滴刺してくれ」
「わかった」
「頼む……落ち着いてくれ……―――
しばらくして樹ちゃんは落ち着いた。
沢山の機械に繋がれて、いつもの様子からは想像できない姿になっている。
「よく頑張った」
そう言って錦は樹ちゃんの髪をそっと撫でる。
「錦……。
樹ちゃんはいったい……」
「305号室の患者…って言えばわかるか??」
「!?!?」
「あーあ。バラしちゃたよ……。
どうするの??このまま外に出すわけには、いかないよね??」
……ゾッとするような言葉をさらっと真顔で言う長谷さん……。
僕、知っちゃいけない事を知っちゃった??
「壱、悪いが時間を割いてもらう。知ってしまった以上そのままにはしておけない。
視歩、少しの間見張っててくれ」
「わかった」
………僕、どうなるの??