あの日の記憶
あの日の事





あの日の事。12月14日



あの時はまだ小学6年生だった私は、コーラス部の朝練に遅刻する〜!


と思いながら荷物を片付け、教室の時計を見ると8時50分。


「やばい!遅れる!!」


独り言を呟きながらも、名札を付けながら廊下を走る。


私の学校の名札は、針が付いていてそれを服に付けるパターンの名札だった。


いつもより急いでいた私は、いつもどうり名札を付けようとした。


でも針の部分が割れてしまった。


「あーもう!ついてないなぁ。」


そう。あの日は本当についてなかった。


寝坊して遅れるし、6年間使っていた名札が壊れるし…


最悪な日だった。


コーラスの練習も終わり、教室に戻る。


寝そうになりながらも、1時間目の社会も終わり、算数の時間になった。


授業が半分終わったくらいの時、担任の先生が私の席に来て


「山中さん」


と深刻そうな顔をして言った。


私は「怒られるんかな?」とか思いながらも、


「はい。何ですか?」


と答える。すると
「家の用事なので、弟君と早退してください。」


と言われた。私はビックリした。


だって先生が言わなくても、その『用事』が何の用事かがすぐ分かったから。


だって答えはひとつしかないじゃん!


8年前に胃がんで倒れたお父さんは、


そこからお酒もたくさん飲むようになってたし、

腕の太い血管だって1本無くなってたんだし…


私は急いで準備をし、友達に手を振りながらも弟の所へいく。


「祐希!早く行こ!」


弟も、とても深刻そうな顔をしていた。


多分、私と考えている事は同じだったと思う。


私と弟は学校まで迎えにくるばぁば達を校長室で待つ事になった。


待っている途中に図書の先生が綺麗なカレンダーを見せてくれた。


しばらくするとばぁば達が迎えに来てくれた。


ばぁばとじぃじは辛そうな顔をしながらも


「あんなにお父さんのこと嫌いって言ってたけど、いざとなると心配でしょ?だって、家族だもんね」


と言ってくれた。


私は確かにお父さんのことは、好きでは無かった。


だってお酒は飲むし、怖いし…


でもお父さんが倒れたと聞いた時は焦った。


「もし居なくなったらどうしよう…!」


と考えるほどに…


私はタクシーが早く着いて欲しい。と願い続けていた。

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