あの日の記憶
がんばって
看護師がカーテンを開く。
すると
沢山のチューブや点滴を付けられて。
もちろん意識は無く、人工呼吸をしているお父さんがいた。
あ然と立ち尽くす私と祐希を焦らすかのように、ドラマなどでよく聞く
「ピッ、ピッ」
とう音が鳴り響いていた。
「おとう…さん?」
医者から話は聞いていたけど、こんな事になっている事は予想外だった。
今日の朝、いつもみたいに仕事行ったよね?
昨日の晩もいつもみたいにお酒飲んでたよね?
…あれ?私……最後にお父さんと話したの何時だっけ…?
2日。違う。3日前だ…!
それも
「おかえり!」
「…ただいま」
だけだよね……?
あぁ。今気づいた。
お父さんと全然しゃべったりしてなかった。
その時、物凄く後悔した。だってお母さんが言うんだもん
「もし意識が戻って退院しても、お父さんとまともにしゃべることは出来無いって…」
私はなんて事をしてしまったんだろう?
なんでもっと会話をしなかったんだろう?
なんであんなにお父さんを嫌いになってしまったんだろう?
家族なのに…。
すると看護師さんが
「あの…
話しかけてあげて下さい。意識はありませんが、声は聞こえていると思うので。」
と教えてくれた。
私は声をかけた
「お父さん。心配したんだよ?
し、死んじゃうかと思った…
死なないで。頑張ってね」
それだけ言った。
カーテンから出る時に、みんなに聞こえないような声で
「ごめんなさい」
と呟いた
今日はとりあえず帰ることになった。
お父さんがどうなるかは分からなかったけど、私達は大きな不安と嫌な予感を持って帰った。
家に帰ったら、お母さんからもう寝なさい。
と言われた
私は何故だかゆっくりと眠りにつけた。