あの日の記憶
親友



スマホを開くと、また梨乃からメールが来ていた。


内容は『えっ…綾のお父さんが?大変そうやな。頑張って。またいつでも相談してな!』


だった。


私は、いつもどうりに接してくれる梨乃にすぐ


「ありがとう」


と伝えた。


梨乃。


ほんとにありがとう。


私がメールを送ってすぐに、待合室のドアが開いた。


「あやちゃん。今から葬儀屋さんの人がお父さんを迎えにくるって。行こか」


「あ、うん。」


目が真っ赤になったお母さんからそう言われ6階に行く。


すると、着物のような服を着て、目にテープを付けたお父さんがいた。


「なんで目にテープしてあるん?」


私はなんか可哀想に思えてきた。


「お父さんね、目が半開きやったんよ。やから、テープで目を閉じさしてるねん」


ばぁばが教えてくれた。


しばらくすると葬儀屋さんの人が来た。


葬儀屋さんの人達は、お父さんを運んで行ったらしい。


覚えてないけど。


またまた気がつけば、葬儀屋さんの待合室にいた。


そこにはばぁばとお母さんと、綺麗なかぶせられて寝ているお父さんがいた。


隣には線香がたっていて、お母さんによると、ずっと線香を立てて置かないとダメらしい。


だから、線香係をばぁばがしてくれる事になった。


まぁ、この時はまだ文句は言ってなかったけど。



私とお母さんは、棺に入れる遺品とか好きだったものを探しに一旦家に帰った。



「…ただいま」


しーんと静まり返ったリビング。


いつもなら不機嫌そうにお酒を飲んでたお父さんが居ない。


やっぱり現実だよね…


現実だと言い聞かしてもやっぱりよく分からない気持ちだなぁ…


そんな事を思いながらお父さんの遺品を片付け始めた。
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