あなたにまた、逢いたくて。〜eternal wind〜
「予定の場所ぜんぶ回っちゃったね、どうする?」
中学三年生の修学旅行の自主研修。
班長である私は次にどうするか尋ねてみたのだが、なにも案は出なくて。
「でもまだホテルには入れないしねぇ」
同じ班の果穂がそう言ってから、私は行きたい場所を思い出した。
「あのさ!」
それは今までに行ったところとは少し違って、行きたいと言うのにすごく勇気がいる。
「バスで二十分くらいの場所なんだけど、いいかな」
おう、という返事を聞いて、小さく深呼吸をした。
「壬生寺っていうお寺行かない?」
言葉にしたらすっきりした。
「ちょっと墓参っときたい人がいるの」
逢いに行きたい人がいるから。
「うわぁ俺きょう数珠もってない」
友達のギャグにも笑えるくらい、心に余裕ができた。