あなたにまた、逢いたくて。〜eternal wind〜
四条京阪から市バスに乗り込んだ。
「バスめっちゃ進まない〜」
「降りて歩いた方が早いんじゃないかったって感じじゃない?」
果穂と愛未が言うように、四条河原町のあたりは道路が渋滞していてなかなか進まない。
前の座席に座っている男子陣は眠っていて、隣にいる二人の女の子はいつもどおりなのに、私はそわそわしている。
集合時間までにホテルにつけるか、とかそんなことではなく。
壬生寺に行くからだ。
「だれの墓行くの?」
愛美は不思議そうな顔をしている。
「親戚とかじゃないでしょ?」
果穂にも聞かれた。
「そうだねぇ」
今から行くお寺の壬生塚という場所には新撰組の隊士のお墓や慰霊碑がある。
だれのためにお墓へ行くのかはなぜか言いたくなくて、あいまいな言葉でその場をにごした。
「あ、進んだ」
四条堀河を過ぎたあたりから道路がすいてきて、車の通りが急に良くなった。
そうなると、壬生寺の最寄のバス停、「壬生寺道」にもすぐに着く。
バス停のすぐ近くにある神社の横を通り、踏切を渡ったあたりで、突然風が吹いた。