あなたにまた、逢いたくて。〜eternal wind〜
その乾いた冷たい風は、マフラーもコートさえもすり抜けて体を冷やしてくるけれど、その透き通った透明さが幸せだ。
私はこの風を、知っている。
脈打つように繰り返す頭痛を感じて思わずこめかみを押さえた。
何かの風景が繰り返しよぎってきてさらに頭が痛くなる。
「ここじゃね?」
班員の裕也の声でハッとした。
「ほんとだ、ありがとう」
境内にあまりひとはいなかった。
しかし、そこに建設されている幼稚園から子供の声がした。
みんな、元気そうだ。
「お賽銭しよう」
果穂が同じグループの人に声をかけた。
全員が頷いて本堂へ向かう。
「あ、じゃあ私急いでお墓の方行ってくる!」
そして私は駆け足で壬生塚へ向かった。
小さな橋を渡って、立ててある一つ一つの石碑に手をあわせる。
それから––––
一番奥にあるお墓の一つの前に立った時、膝から力がガクンと抜けた。
『安藤早太郎』。
墓石に刻まれたその名前を見たとき、私は気づいてしまった。
この人こそがずっと探していた人だと。
縁側で隣に座り、美味しいお団子を食べたり、弓を射る姿を見て心臓がばくばくいったり。
かけていた記憶のピースが徐々に埋まっていく。
「早太郎さん……」
自然と声が漏れてしまう。
早く帰らないと班のみんなを待たせてしまうとわかっていても足が動かない。