癒し恋~優しく包まれて~
「柊花は意外に危なっかしいから、なんかハラハラしちゃうんだよね」

「なるほどね、それで俊也が守りたくなるわけね」

「まあね。柊花はほんとかわいいんだよねー。今日もかわいかったし」

「はいはい。せいぜい嫌われないようにしなよ」


目尻を下げて嬉しそうに私のことを話すのは嬉しいけど、本人の前ではちょっと遠慮してもらいたい。

そう何度も「かわいい」と言われるのは恥ずかしい。

進士さんは「聞いてられない」と肩を竦めて奥に消えてしまった。


「俺のこと、嫌わないでよ?」

「はい、大丈夫です」


好きだと自覚したばかりでそんな簡単に嫌いにはならない。初めて思いが通じ合う人に出会えたんだもの。

これからはきっと楽しいことばかりがある日々を……あ、そうだ、忘れていた。

大事なことはハッキリとさせておかないと。


「入江さん」

「そうそう。柊花さ、会社ではそれでいいけど、外に出てまでその呼び方は嫌だな」

「はい? 呼び方ですか?」

「うん。俊也って呼んでよ」
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