癒し恋~優しく包まれて~
ずっと脈なしのカズさんを好きでいた私を哀れに思った上で、ほかの男に目を向けろとそんなことを言った。

その時は、好きでもない人と付き合うことが幸せだとは思えなかった。好きな人と付き合うから幸せなんだと思っていた。

でも、自分だけが好きなだけだったら、切ないし苦しくなると言われた。

それでも好きな人と付き合えるなら本望ではないかと思ったけど、一方通行の恋では付き合うことも叶わなかった。


私を好きだと言ってくれた俊也さん。

どんな私でも好きになれると言ってくれた。

好きだと言って守ってくれる彼は本当に優しくて、彼のそばにいることが心地よくて、好きになってしまった。

好きだと言われてから好きになり、幸せになれる。それこそ最高な恋かもしれない。

俊也さんへの想いを自覚した今日はなんだか心がふわふわする。

ん? ふわふわ?


「柊花、今日は飲みすぎないでね」

「はい。これを最後にします」


二度あることは三度ある……にしてはいけない。これ以上飲んだらまた記憶をなくす羽目になりかねない。
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