癒し恋~優しく包まれて~
ちょっと待って!

こんな公衆の面前で、何をするの!

離れようと頭を動かすが、彼の手はびくともしない。もう、離れてよ……。


私の動きに動じない彼が舌を滑り込ませようとしたとき……救いの声が聞こえた。


「そこのバカップルなお客さまー。申し訳ありませんが、そういうチューはご遠慮くださいね」


呆れたように言う進士さんに助けられ、私は解放される。


「進士、邪魔するなよ」

「俊也、それは俺の台詞。他のお客さまの邪魔になるから」

「俺たちが邪魔?」

「そうそう、それ飲んだら帰って。ここでなければ、キスだろうとその先をしようとどこで何してもいいから、俺の神聖な職場からは出てよ」


俊也さんは進士さんに訝しげな顔を見せ、テーブルに置かれている二つのカクテルを見る。まだ半分以上残っている。

キスとかしなければのんびり飲んでいても文句は言われないだろう。だから、のんびり飲んだらいいんじゃないかな。


「まあ、かわいい柊花を他のヤツに見られたくはないしな……柊花、それ一気に飲んで」

「ええっ! 一気に?」
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