癒し恋~優しく包まれて~
カズさんとの食事で飲んだのはワイン一杯だけだから、それほど酔ってはいないけど、これを一気に飲んだらふらふらになりそう。

俊也さんは自分のを一気に飲んで、「早く」と言う。一気飲みは体に良くないのに。

だから、二回に分けて、飲み干した。喉が焼けているし、頭がクラっとした。

こんな飲み方を岩田くんに見られたら、体に悪いと怒られるよ……。


「さあ、帰ろう。早く二人だけになろうね」


しかもすぐ帰ろうとする。二人だけになりたいのは私もだけど、そんなに急がなくてもいいじゃないの……。

立ち上がって、一歩を踏み出すと酔いが一気に回り、足元がぐらつく。俊也さんが腰を支えてくれたからなんとか歩けたけど、一人だったら絶対に転んでいた。


「楽しい夜を~!」


進士さんは嬉しそうに手を振って見送ってくれた。そんなにも追い出したかったのかと思うと複雑な気持ちになる。


タクシーに揺られると体がふわふわとしてきた。肩にもたれたままで俊也さんを見ると、おでこにキスされる。

おでこじゃなくて、口がいいな。

彼の腕にぎゅっと抱きつく。
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