癒し恋~優しく包まれて~
早々と着替えてきた弟が母からトレイを受け取り、テーブルにコーヒーを並べる。

「ケーキもあるんだけど」


さっき買ってきたと思われるケーキの箱と皿とフォークを持って、義母が来てテーブルの横に腰を下ろす。

みんなの希望を聞きながら、皿に乗せると空になった箱と俊也さん渡したクッキーが入った箱を持って、キッチンへ戻っていった。

置いたらまたこちらへ来るのかと思ったが、なかなか来ない。彼女なりに気を遣っているようだ。


「えーっと、入江さんは柊花と同じ会社にお勤めされているんですよね?」

「そうそう、姉ちゃんと同じとこにいるリーダーさんだっけ? あれ、係長さんだっけ? どっちだ?」


私たちよりも先に弟が口を開く。弟にはいろいろと話しているけど、今は口を挟まないで静かにしていて欲しい。


「ゆう。お前は大人しくしていなさい。入江さんと柊花と話しているんだから」

「はい、はーい」


弟は、おもしろくなさそうにケーキを食べ始める。

俊也さんは名刺を父に渡して、今就いている役職と仕事内容について話す。

父はその話を熱心に聞いていた。
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