癒し恋~優しく包まれて~
近くの神社に着いたときには、空がオレンジ色から群青色に変わり始めていた。

吹く風が冷たく、体を縮ませる。そんな寒くなってきた時間でもまだお正月二日目だからか、参拝する人が多くいた。


「俊也さん。初詣って、今年一年のことをお祈りするんだよね? ずっとはダメだよね?」

「うん、そうだな。ずっとなんて欲張りなことを祈られたら、神様も困るだろうね」

「そうだよね」


今年一年○○でありますように……がいいかな。丸に何を入れよう。


賽銭を入れて、隣で祈る俊也さんを見て、私も祈った。今年一年俊也さんがかわいがってくれますようにと。


「柊花、なんて祈った?」

「内緒です。俊也さんは?」

「教えないくせに聞くの? ずるいな。俺は、今年一年柊花を癒してあげられますようにと祈ったよ」

「私を?」

「そう、柊花が俺のすべてだからね。そこ、段があるから気をつけて」


差し出す手を握りしめるのでなく、腕にしがみついた。


「寒いからこの方があったかい。ねえ、俊也さん」

「なに?」

「いっぱい愛してね」

「もちろん。満足するまで愛してあげる」


彼は私のおでこにキスを落とし、優しく微笑んだ。


ーENDー
< 212 / 213 >

この作品をシェア

pagetop