癒し恋~優しく包まれて~
オーダーしてから、まじまじと神原さんを見た。肩よりも10センチくらい長いダークブラウンの髪は毛先がくるんとカールされている。

長いまつげはくるんと、きれいに上にあげられていて髪と同じ色をしている。ローズ色のルージュを引いた唇は艶々。萌絵さんとは違うタイプだが、同じように女子力が高い人だ。

でも、女子力なら私も負けてはいない。10年前からきれいに見えるよう磨いてきた。

オフィスでは控えめではあるけれど、大人っぽくクールに見せながらも新人らしく清楚さも備えたメイクを施しているつもり。


「販売戦略部にこんなきれいな子が入ったなんて知らなかったわ。俊也ったら、教えてくれたら良かったのに」

「別に教えるほどのことではないだろ。特に業務で関わりはないしね」


甘えるように話す神原さんに入江さんは冷たく答える。だけど、その答え方が不自然に感じる。だって、駅で見たときの入江さんは笑っていたし、楽しそうだったから。

私の前だからわざと冷たく振る舞っている?

入江さんの態度に不安が広がっていく。
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