癒し恋～優しく包まれて～

『神原』と呼んではいるけど、普段は下の名の『夏鈴』と呼んでいると思う。神原さんが突然現れたときに、「か」と言ってから「神原」と言った。下の名で呼びそうになったけど、私がいたから止めた感じがした。

いくつか入江さんの不自然な部分が見えてきて、不安は募る一方だ。せめて二人の関係がはっきりと分かれば少し不安は消えるのではないかなと思う。

私が勝手に不安になっているだけかもしれないけど……。


「あの、お二人はどのような関係ですか？ すいません、突然変なことを聞いてしまって」


私が聞きたいことだったけど、質問したのは岩田くんだった。目の前に座る二人が目を丸くして、岩田くんと私を交互に見る。

なんでそんなことを聞くのだろうと思っているようだ。でも、私も知りたいことなので二人を真っ直ぐと見た。


「なんかそんな気になるようなことした？ ねー、俊也」

「神原の態度が問題だろ？ まったく……変に勘繰られたくないから言うけど、俺たちは大学時代からの友だちなんだ」


前に聞いた答えと同じだ。あのときは納得した答えだったけど、今は信じられなくて納得出来ない。