Pyua love ～そして真実～

休み時間になれば、僕の周りには生徒が集まる。
この光景も、何処へ行っても変わらない。
僕は、クールに振舞う。


僕が必要なのは、あの少女ただ一人だけ。


冷たいわけじゃない、王子として仕事を優先しているだけ。
本当は僕だって、友人を作ったりしたい。
でも、僕はこの世界に存在しない者だから・・・。

「何処から来たの？」
「坂上君は、彼女いるの？」
「そんなことより、クラブは何処入るんだ？なんなら、うち」
「いや！おまえのとこ汗臭いだろ？坂上君のようなイケメンは絶対うちだね！」

クラスメイトは、僕を囲んで騒ぎ立てる。
この中で、黒髪は数人いるけど、守り石の反応を感じることはなかった。


僕は、問題集から目を離して、ペンを置くと報告書を手に取った。

そこには関西に住む女子高校生の情報がずらっと並んでいる。
どの少女も皆、幼い頃に東京に住んでいたことがある者達ばかりだった。

「モーリ、彼女と彼女と・・・それから、この子。接触するから詳細よろしく」

僕は、側近の一人の名を呼ぶ。
僕が生まれた時から傍に居てくれる二人のうちの一人。

カム・モーリ

この世界では、神森と名乗らせている。

もう一人の側近。

タナ・カー

彼には、田中と名乗らせて、このGARDEN SQUARE Tokyoの管理人という立場から、ここに集まる情報の収集を行ってもらっている。

ついでに、途中の名古屋支社にも寄っておこうか。

この世界で優秀な部下を得ることが出来たから、表の仕事は彼らに任せているけれど、一応社長の立場としては、表の仕事もこなさなくてはならない。

「明日の夕方に出発しましょう」

明日は、金曜日だから夕方に出発をすれば、夜中には名古屋に到着出来るだろう。

土日で、名古屋と関西を回って用事のみ済ませて帰って来る。
そんな予定をモーリに告げられた。