Pyua love ~そして真実~
パソコンの前に戻った僕は、途中まで書きかけたメールを眺める。

傍らには、モーリが置いていってくれたコーヒーが冷たくなっていた。

なんで僕は彼女に正体を話したんだろう?
あのまま話せば、僕が冬也ではなくてトーヤだって言う事も話してしまいそうになる。



ピンポーン

モーリが様子を見に来たのだろう。

「外山様は帰られたのですか?」
「うん・・・帰ったよ」

「どうかなされましたか?」

僕の様子が明らかにおかしいのだろう。

「ううん・・・なんでもないよ」

いくらモーリでも、この気持ちについては分からないだろう。

僕が話す気がないのを悟ると、モーリは台所に立つ。

「夕飯の支度をいたしましょう」

この世界に来てからモーリの料理の腕は格段に上がった。

こっちに来たばかりの頃は、ホント酷かった。
僕は、あの頃のことを少し思い出すと、気持ちが楽になった。

モーリの包丁の音を聞きながら、書きかけのメールの続きを書き始めた。



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