Pyua love ～そして真実～

彼女の名は、

加藤　愛南（かとう　あいな）


昨年の学園祭では、ミスに選ばれる程の美人な子で、そして・・・。




坂上君のファンクラブの会長でもある。



ここ最近は、無表情の坂上君の横に加藤さんが寄り添う図というのも珍しくなくなってきていたんだけど・・・。

「あ・・・そうね・・・今なら、外山さん。あなたもファンクラブの会員に入れてあげるわ？どう？夢花も入る？」

「あたしは年収１０００万以上の男にしか興味がないから、遠慮する。」

「・・・そ・・・そう・・・じゃあ、夢花は興味がないっていう事で、よろしいのかしら？」

夢花の言葉に流石の加藤さんも、動揺を隠せないみたいだった。

そうなると矛先は、当然私に向く。



「外山さんは、冬也の事が気になってるのよね？」



確かにその問いにはイエスだ。

でも、それは加藤さん達と同じ意味なのかどうかと言えば・・・。

分からない。

「何黙っているのよ？」

「私は・・・」

ファンクラブに入ってしまえば、加藤さんの仲間になるっていうことで、それはそれである意味大変な日々になるであろう事は、予想できる。

きっと、自分にとって一番平和なのは、ここで断わって坂上君とは一切関わらない。

この選択なんだろう。

「加藤さん。君の声が廊下にまで響いていたよ」

この声の主は、坂上君本人だ。

「と・・・冬也・・・ごめんなさい！私ったら・・・」

坂上君が戻って来たことで、加藤さんも小さく舌打ちしながら、私から離れていく。

（参ったなぁ・・・）

「大丈夫？志帆？」

「うん・・・大丈夫。でも結局、坂上君本人に聞けなかったね？」

「うん・・・」

私の席とは離れた席で坂上君は、静かに何か難しそうな本を読み始めているし、
その横には加藤さんがしっかりと陣取っている。

学校で坂上君に関わるのは止めよう。

ううん・・・学校の外でも、生きている世界が違う坂上君とはこれ以上関わる必要がない。

そう・・・私にとっては関係のないただのクラスメイトなだけなのだから。