Pyua love ~そして真実~
「大事に持っていてくれてありがとう・・・」
坂上君は、そう言うと優しく微笑んだ。
坂上君は、自分のいるべき世界へと帰る。
それは、決まっていること。
ペンダントを渡してしまったから、もう坂上君がこの世界に留まる理由なんてない。
「あっちの世界に帰っちゃうのよね?」
「うん・・・守り石が見つかったからには、すぐにでも出発することになるかな」
行かないで!
もっといろいろと話したいの!
もっと貴方と一緒に過ごしたいの!
そんな風に言えたらどんなに良いのだろう。
でも、私は言えなかった。
結局、私の気持ちは伝えられることはないまま、坂上君は自分の世界へと帰っていった。
「また、外山さんが迷い込んでしまった時は、必ず迎えにいくから。」
「うん・・・」
「だから僕は、さよならは言わないでおくよ」
手を差し出した坂上君の手を私は、握り返す。
時が止まってしまえばいいのに。
って、本気で思った。