【完】もっとちょうだい。
「はー!勉強やっと終わった!今日ほど集中したの久しぶり」


藍ちゃんがそう言って伸びをする。


「あたしも」


藍ちゃんとあたし、二人で目を合わせてね。
絶対慶太くんのスパルタのおかげだよねって、目で会話。



午後六時の昇降口。
外は真っ暗。



あたしと藍の前に、慶太くんと匠くんがいて。


会話が続いていて、なんとなくみんな帰り渋ってる。


あたしもまだひとりになりたい気分じゃない。


「芙祐スマホの電源入れて見たら?家でひとりよりよくない?」

「え……うん……。あ、でも、こわいな。怒ってるかな」

「怒ってたら俺がガツンと言ってやるよ」


って匠くんが言った瞬間


「匠にそんな度胸あると思えない」


って藍ちゃんが突っ込んで、言い返せない匠くん。


慶太くんがプッと笑って「匠ってガツンとなんか怒れんの?」って。


「匠くん怒らないの?」


あたしがふたりに聞くと、


「俺は見たことない」って、慶太くん。「ヘタレだもん」って藍ちゃんひどいね。


「怒らない人いるんだ……穏やかだね」


って、あたし、言ったあとに気付いたけど、慶太くんも怒んないよね。


ルイトモ?
いいなぁ……。


藍ちゃんって匠くんになんでも言えるんだろうな。


溜息をつきながら、スマホの電源ボタンを長押し。画面が光って、着信の通知、1件。


LINEは……ヤヨから2件。


結構あっさりしていて拍子抜けした。もやもやとした気持ちでお腹いっぱいになりそう。


《昨日は本当にごめん》

《勉強終わったら電話して》


LINEのメッセージはこれだけ。


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