【完】もっとちょうだい。
「ヤヨ、電話してだって……」


「今する?帰ってからする?」


「家で喧嘩になるよりみんないた方がいいかも」


あたし、そう言いながら情けない顔でもしてたのかな。


慶太くんがあたしの頭をトントンってしてから、わしゃわしゃ。


「なんかあれば俺たちもフォローするよ」


そんな優しい顔で頼もしいこと言うんだもん。


藍ちゃんの方をみると「先に私が話そうか?」って。


「もし、やばかったらお願い」


みんなから少しだけ離れて、
履歴から、坂木弥生にタップした。


コール中、どきどきが激しくなる。


不安すぎて怖い。


もう今度から無視とかしない……。


そう決意するくらいたくさんコール音を聞いたあと
『もしもし』
って、ヤヨがやっと出た。


「……あ……芙祐だけど」

そんなわかりきったこと言ってどうすんの。


『ごめん、芙祐。探すとかそんなの断ればよかったのにって……今は反省してる』


「うん……」

『こんなん言って信じてもらえるかわかんないけど、俺は芙祐以外……ありえないし……』


「うーん……説得力、あんまりない。それ」

『……だよな」


だよなじゃないでしょ。


もっと自信満々に言ってみせてよ。


俺は麻里奈なんかより芙祐が大好きって


そういうの、男らしく言ってくれたら、まだ
このもやもやした気持ちが減るかもしれないのに……。



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