【完】もっとちょうだい。
『弥生~、麻里奈ちゃんとお母さんが来てくださったわよ!昨日のお礼って……あら、電話中?』


って、電話口の向こうから、多分ヤヨのお母さんの声が聞こえた。


『今それどころじゃないから!部屋出てって!』

って、ガサガサいう音の奥で聞こえる。

服でマイクを覆ってるのかな。
丸聞こえだよ。


……また麻里奈ちゃん。

少なくとも小学生からの幼馴染だもんね。家族ぐるみなんだね。


すっかり脳裏に焼き付いてる中学の卒アルのふたりの笑みが頭に浮かぶ。
美男美女。お似合いのふたり。

目にはってた涙、たった今こぼれおちた。


『ごめん芙祐、親がいきなり』

「麻里奈ちゃんのところ行ってきていいよ」

『いや、行かないから。行くわけない。てか電話じゃ駄目だ。今から会えない?』

「いいってば、もう」

『それはどういう意味の”いい”?』

「もう勝手にすればいいって意味!ヤヨとなんか」


“付き合わなきゃよかった。”


そう言おうとしたとき、後ろから口を塞がれた。



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