【完】もっとちょうだい。
「芙祐ちゃんごめん。正直こじれるのは計算外だった……」

「ううん、本当にありがと。なんか……ほんとに、そうだよね。ヤヨはやっぱり麻里奈ちゃんが大事なんだよね」


そうじゃなきゃ、探しに行くわけないじゃん。

なんでわかんなかったんだろ。




帰り道。慶太くんが送ってくれるって言ってくれたけど、
ひとりになりたくて断った。



どうして気づかなかったんだろ。


なかなかあたしに手を出さなくて。
好きって全然言ってくれなくて。


あたしと撮った写真は、麻里奈ちゃんとのやつより全然笑ってなくて。
麻里奈ちゃんみたいな黒髪清楚な子が好みで。


麻里奈ちゃんのオムライスとおんなじの作って。
モグへのクリスマスプレゼントをすっごく喜んで。


思い返せば、全部ヒントだったじゃん。



モグへのクリスマスプレゼントって、物に対して喜んでたのかな。
もしかして
ヤヨの欲しいものを麻里奈ちゃんが“分かってくれて”買ってきた
っていう。


麻里奈ちゃんと、言わずもがな通じ合ってるってこと自体が、嬉しかったのかな。


ああ、もう。
何考えてもいいことない。



涙がぼろぼろ零れるから。
考えたくもないから。


コートのポケットで何度も震えてるスマホの電源をもう一度切った。


< 124 / 268 >

この作品をシェア

pagetop