【完】もっとちょうだい。


***


3日後の登校日になったけど、
結局今日まで一度もヤヨと連絡取らなかった。


ヤヨも途中で諦めてた。
昨日は何も連絡来なかったから。


「芙祐!大丈夫?」


教室に入るなり、藍があたしのところまで足早に来てくれた。

「大丈夫だよ」

「そう……。あんま無理しないで」


眉を下げてあたしを見つめる。
抱きしめたい、藍ちゃん……。


「藍―!さっきからスマホめっちゃ鳴ってるよ!」
って、クラスメイトの山田がこっちに叫ぶ。


空気とかそういうの、わかんない?山田。


二人で藍の席に行って、藍ちゃん、スマホを確認。


「匠だ。え、やばくない?慶太くんもめてるみたいよ」


藍がそう言ってスマホをこちらに傾け、
送られてきた動画の再生ボタンをタップした。


動画では、慶太くんが女子……たぶん四人に囲まれて、なんか責められてる?


甲高い声とギャラリーのうるささでよく聞こえない。


とりあえず、あたしたち。
現場の渡り廊下まで走った。


人だかりがすごい。
多分あそこに慶太くんがいるんだと思う。



この渡り廊下、登校してきた人が通る道だし、もめてるのがまた、慶太くんだし、そりゃ野次馬も多くなるよね。



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