【完】もっとちょうだい。
「慶太くんはそんなこと絶対しない!」


あたしの声で、やっと暴言が止まった。


「慶太くんはちゃらいけど、人を傷つけたりなんかしない」

「でもナナはされたって言ってる」

「あたしにはそっちが嘘言ってるとしか思えない。慶太くんと仲良かった子全員に聞いて回れば?ぜったいありえないから。みんなそう言うって誓えるよ」


ギャラリーの注目が完全にあたし。


でも、こんなのひどすぎるでしょ。


濡れ衣着せられる慶太くんなんて、そんなの神様許さないってば。


ナナちゃんに近づくときまり悪そうに目をそらされた。
友達もそんなナナちゃんの様子を見て戸惑ってる。


「何があったかは知らないけど、こんなの酷いと思うよ」

あたしがナナちゃんに言うと、

「あ……あんたに何がわかるっていうの?!」

って、ナナちゃんがあたしをきっとにらんだ。


「わかるよ、あたし元カノだもん!慶太くんほど優しい人なんて、あたしは知らない!」


そう言い切った時。


ナナちゃんの手が振り上げられた。
ぎゅっと目をつぶるけど、痛みがない。


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