【完】もっとちょうだい。
ありえない。
こんな最悪なタイミングで
麻里奈の名前が出てくるなんて。

芙祐の声がだんだん涙声に変わっていく。


『麻里奈ちゃんのところ行ってきていいよ』


「いや、行かないから。行くわけない。てか電話じゃ駄目だ。今から会えない?」


どこでも行くから話したい。
会わなきゃ、こんなの無理だろ。


『いいってば、もう』


……何で芙祐はそうなんだよ。
そんな風に切り捨てられてばっかりじゃ、
仲直りするチャンス、どこにもないじゃん。


もういいって……、 「それはどういう意味の”いい”?」


『もう勝手にすればいいって意味!」


そのあとも何か言ってたけど、聞き取れなかった。


これじゃ、こじれていくばっかりだ。

“今からそっちに行く”って
そう言おうとしたとき。


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