【完】もっとちょうだい。
『もしもし、弥生くん。慶太だけど』

電話の向こうから、そういう、あいつの声がした。


なんで?
今こんな状況で、芙祐はあいつといんの?


……意味わかんない。


俺から芙祐を奪うって、昨日宣戦布告したあいつが。

今日も隣にいんの?


『弥生くんは、芙祐ちゃんのことが好きなんだよね?』

あいつは淡々と、のんびりとそう聞く。


お前何なの。
芙祐も……なんなの。


「当たり前だろ」


なんで?

喧嘩したら毎度当たり前みたいにあいつが、
芙祐のところに来んの?


『ソレ……たとえばね。芙祐ちゃんが一番だとして、二番目は絶対にいない?』


「二番て……なに?」


俺の連絡ほとんど無視して、
こういう大事な電話すらあいつと一緒にかけてくんの?


芙祐は……なにがしたいの。


少なくとも、仲直りする流れじゃないじゃん。これ。


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