【完】もっとちょうだい。
ふたりの談笑が続く。
俺は片時も芙祐のこと
考えずにいられないほど
今の状況が耐えられないのに。
芙祐はなんでそんなに普通に
笑って、楽しそうにしてんの。
他の男と。
……胃が痛くなってきた。
気持ち悪い……。
飲み物を買うのはやめて、教室に戻った。
目の前に広げた数学を一つも解くことなく、
ただぼうっと席に座って、時間が過ぎていく。
静かな教室。
ドアが開けられた音に、俺は癖みたいに顔を上げた。
……芙祐だ。
一気に鼓動が速まる。
反射みたいに立ち上がって、
芙祐の方へと歩き出した。
「ちょっと話せる?」
そういう芙祐に俺は一回頷いた。