【完】もっとちょうだい。
「……追いかけない」

「なんで?俺には理解できない考え方」


だろうな。
お前なら迷わず追いかけてんだろ。

だけどそれって、
芙祐にちゃんと好きでいてもらったからできる行動だと思う。


「俺は、お前とは違うんだよ」


投げやりにそう言って、溜息をついた。


「お前と芙祐が別れた時、芙祐って泣いてすがっただろ?」

「あぁ、うん。そうだね」

「ふぅん……。それってどんな感じに?」

「そんなの聞いてどうすんの」


桜木慶太が笑ってかわした。


一番聞きたいこと聞いても、あと一歩踏み込ませないかんじ。
こいつはいつもそう。


しかももう体得された技みたいに、自然に踏み込ませない。

……つかめない。

こういうところ、芙祐と桜木慶太は似てる。




本当に、正直言えば……。
お似合いだと思う。
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