【完】もっとちょうだい。
芙祐ちゃんこそ、余裕で合格すると思うよ。


最初から十分合格圏内なのに
あの日からずっと
火が付いたみたいに
勉強ばっかりしてるんだから。


本当は、必死で
考えないようにしてるんだよね?


「芙祐ちゃんは頑張ってるね……」

……健気だね。
可哀想なくらい。


思わず芙祐ちゃんの方へ手を伸ばし、頭を撫でた。


俺、そんな涙誘う表情でもしてたのかな。


芙祐ちゃんは何か緊張の糸でも切れたみたいに
ぽろぽろと涙を流し始めた。


「……え。ごめ」

って謝りつつも、少し焦った。

周りの目もある。
咄嗟に、芙祐ちゃんの座る右側の腕を伸ばして
芙祐ちゃんの目元を隠してみたけど、

この後どうする……ってくらい、俺たち、教室のど真ん中にいる。

結局まぁまぁ注目は浴びつつ、廊下に出た。
うすぐらい空き教室に入って、ドアを閉める。


「ごめん……大丈夫?」

「慶太くんが謝るのへん……ほんとにごめん」

「……我慢し過ぎだって」

嗚咽する芙祐ちゃんに、
胸でも貸そうかなって思ったけど
隣に立っておくだけにする。


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