【完】もっとちょうだい。
「だけど……もう甘えられない。
あたしはヤヨしか“見ない”から」


「うん」

って、慶太くん、
そんな表情しないで。

……傷つけたいわけじゃないんだけど。

「あたし、ヤヨに振られるかもしれないけど。
それでも、あたしはひとりで大丈夫だから」


散々甘えちゃったけど、
もうあたし手間かけなくて、
大丈夫だから。


「ほんとかなぁ?ちょっと……いや、結構心配だけど」

いたずらっぽく、でも寂し気な笑顔。
胸がぎゅうっときしむみたい。


「本当だよ」

「……でも正直ちょっと惜しいでしょ?」

って、
そんなの聞かないでよ。


本当、エスパー……。
ううん、なんでもないよ。


< 177 / 268 >

この作品をシェア

pagetop