【完】もっとちょうだい。
……いつだって、慶太くんは
あたしをこんなに救ってくれる。


ほっとして、涙腺が緩みそうになったから
天井を見上げて鼻をすすったら


「……俺、ほんと。芙祐ちゃんと付き合えてよかったなぁ」


そんなしみじみとした声、
今出さないで。


「……泣ぎぞう」

「泣いてる泣いてる」

ははって、慶太くんが笑う声につられて、
あたしも泣き笑い。


「じゃあ、さ。その”いつか”を目指して、それぞれがんばろっか」

慶太くんはそういって、
こっちにグーを突き出した。


「うん」

あたしも拳を伸ばして
慶太くんのにコツンと当てた。

「弥生くんのこと、本気で応援してるから。頑張ってきて」

「うん、……行ってくる」

「俺も、もう帰るね」


< 179 / 268 >

この作品をシェア

pagetop