【完】もっとちょうだい。
慶太くんのその笑顔も言葉も、
慶太くんの本心かどうかなんてわからないってこと
十分わかってる。


……だから思うんだ。

いつか、あたしも
慶太くんみたいに
人を大切にできるひとになれたらなって。


自分勝手な愛情じゃなくて。
本物のやつ。
好きな人にあげられたら。


……そしたらきっと
好きな人も
あたしだけを好きなってくれるんじゃないかな。


そう思う。


だからあたし、”慶太くんみたいな人になる。”

そんな目標を心のポッケに差し替えて。


慶太くんに「ありがとう!」って大声でいって、
「びっくりしたぁ……」って笑わせてから、教室を出た。



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