【完】もっとちょうだい。
理数科の教室に着いた。
化粧なんか直してない。


ヤヨいるかなって
教室のドアをいつもみたいにあける。


すぐにばっと顔をあげる人は
そこにはいなかった。


あ、この人。
ドアのすぐ傍にいる男子、確かヤヨと仲よかったはず。


その人に「ヤヨいますか?」って聞いたら


「弥生もう多分受験終わるまで来ないと思うよ」

「え、さぼり……?」


ついにグレた。
あの、真面目代表の……ヤヨが?

「いや、理数科はもう自由登校だから来ないひとと半々なんだよ」

「……そうなんだ」

「集中したいんだって……、てか俺、弥生から聞いちゃったんだけど。別れたって……?」

「あ……うん」

ここだけ今、気まずい空気。

「悪いんだけどさ。今はそっとしといてあげてくれない?あいつ勉強ずっと頑張ってたし、水を差さないでほしいというか……」

そう言われて、はっとした。

あたしまた、自分勝手だった……。


「ごめんね?芙祐……サンが悪いわけじゃなくて!」

「……ううん、ありがとう」


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