【完】もっとちょうだい。
話すのは今じゃない。
ほんと、気づけてよかった。


でも受験頑張ってって
それだけ伝えたくて。


伝わんなくてもいいから
ゲン担ぎのレベルで応援したくて。


ヤヨの下駄箱に、
抹茶味のお菓子、忍ばせた。


高校の合格発表の日
……ヤヨと初めて会った日。
ちょっと喋ったんだ。


勿論、あたしが一方的に
話しかけたんだけど。
ヤヨ優しいから、普通に受け答えしてくれたっけ。


この抹茶味のお菓子、
合格祝いだよって
ヤヨに渡したの。


だから、
たぶん、縁起いいじゃん。


ヤヨ、覚えてるかわかんないけどね。
しかも、受験まで学校来ないって言うんだから、
ほとんど意味ないんだけど。


……合格しますように。


ヤヨの下駄箱をまるで神棚みたいにして
毎朝、ナムナムしてから
教室に向かう。


半分不審者なあたしだけど
理数科の人は
大して気にも留めず
素通りしていくね。


< 182 / 268 >

この作品をシェア

pagetop