【完】もっとちょうだい。
たちまち、心臓が
ありえないほど速く、
心拍数を更新していく。
「……ヤヨだ」
「……うん」
ヤヨ、卒業式だから?
そんなお葬式モードなオーラ出してるの?
それともあたしからも
おんなじやつ出てるの?
「ふたりとも暗ーい!」
リコちゃん、あえて
そこは明るい声で突っ込んで
あたしの背中をばしんと押した。
「……ええっとぉー」
押したはいいけど、
リコちゃん、なにか言葉を探し中……。
なんで押したのか、自分でもわかってないんでしょ、それ……。
ヤヨと距離を取り直そうとしたタイミングで、
「あ!写真でもとってきたらぁー?」
って、あたしとヤヨを階段の方へと追いやるように
背中を押した。
困惑するあたしの顔を見て、
藍ちゃんは、一回頷いて、
「……芙祐、弥生に会いたかったんでしょ?そんな顔してるよ」
そう言ってから、ヤヨの背中だけを叩く。
「もう、しっかりしてよ、弥生!」
藍とリコに追い払われ気味に手を振られて、
あたしたち、そのまま階段を上って
屋上に出た。