【完】もっとちょうだい。
「ぷっ。あははっ。……ごめん、泣くなって」

グイって、ヤヨの制服の袖口で
涙拭きとられた。

「いい匂いした」

せっけんみたいな、柔軟剤みたいな。
大好きなヤヨの匂い。

「……ヘンタイ」

ヤヨが、呆れた顔で笑ってる。
でも少し、ほっぺ赤い。


「熱ある?」

「ねぇよ」


額触ろうと手を伸ばしたらね
それだけで、ヤヨのほっぺ、余計赤くなってたから。

あたし、手をひっこめた。


「ヤヨ的にアウトなのはわかってるけど。卒業式終わるまで、まるまる話せる?」

あたしが今してるみたいに
ドキドキしてくれてるのかな。


そんな自惚れたこと考えたから?

ヤヨは、あたしから顔をそむけてこう言った。


「うん……今日でもう、最後だし。ゆっくり話そ」


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