【完】もっとちょうだい。
あたしの顔から笑みがしゅっと消える。


「……もう最後?」

念のために聞いてみたら、「そうだろ」って笑う。


そんなこと、
当たり前みたいに言わないで。

告白してもないのに、
なんでもうほとんど振られてるの……。


もしかして……

「ヤヨ、麻里奈ちゃんとより戻した……?」

あたし、多分
顔面蒼白。

そんなあたしをちらっと一瞬視界にいれたかいれてないか、
よくわかんないけど、
ヤヨはまた、飽きもせずどこか遠くを見て言う。


「……ねぇよ」

付き合ってないんだ。
ほっとするより、もやもやした気持ちがこみ上げる。


……なんでそんな切なげにいうの。


……ふられた、とか……?

ずきずきする。
なのに、あたしの口、
勝手に動くみたい。


ヤヨのこと元気づけようって、
言いたくもないこと、言う。


「……麻里奈ちゃん、ヤヨのことまだ好きそうだったよ」

そう伝えたけど、ヤヨは黙ってた。

柵から離れて、自分のネクタイを緩めてる。

そのセクシーな様子をじっと見てたら、


「麻里奈が俺のこと好きだったら、どうなの?」


眉をしかめて、あたしに問う。



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