【完】もっとちょうだい。
「べたべたされたら、こっちは、もっとしたくなんの。キス以上のこと」
「……え、ヤヨ……したいの?あたしと!?」
「なんでそんな意外っぽくいうんだよ……俺何者だよ」
「だってずっと、あたしには手出さないから」
「我慢してたんだろ!芙祐したことないって言ってたし」
「……え!」
「は?」
時計の音、かなり耳につくくらい
沈黙。
お互い、目をそらさず、
フリーズしてる。
「……あたし、したことある。最後まで」
え!?そういう意味だよね?
だってヤヨが、動かない。
え?息してる?
「……あぁ、そうなん。え?あいつと?」
「た、たぶん、そう」
「……じゃあ、俺の我慢ってなんだったの」
とかぶつぶつ自問自答が聞こえてくるけどね。
あたしは、少しうれしい。いや、かなり嬉しい。
貧乳だから手出さないとか、
魅力がないからとか
そういうのじゃなかったんだ……。
あ。
ヤヨ、まだぶつぶつ言ってる。
「あの、なんかごめん」
一応謝っとこ。
「別に。俺別に芙祐の一番が欲しいわけじゃないし。一番最後の男にはなりたいけど」
一番最後?
「意味わかんないならいいよ」
そっぽ向く、ヤヨ、顔赤い。
ね、それって
「プロポーズみたい」
「ばぁか。違うけど。はいコレ。お詫びと……それと、これからもよろしくっていうことで」
そういって差し出してくれたのは、
黒くて四角い箱。